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さ く ら

桜が綺麗だと感じるのは儚さ故かな


【桜咲き、桜散り】

桜はどうして、綺麗なんだろうね?

ちょっと話題が切れたから、ふっと見えた桜の木を、話に出してみた。
ただ、それだけの理由だった筈なのに、僕はずっと前から聞きたかったような・・・ずっとずっと気になっていたような・・・そんな感じがした。

可笑しな、感じだった。

質問されたあの人は、僕が見た桜を見て。
その桜を見越したようにして、一旦、目を閉じた。
きゅっと閉じた瞼。
横目で見てもわかるくらい、随分長い睫。
風になびいて、前髪が揺れた。
そしてそっと、瞳を開ける。
それと同じくして、僕を見る。

どきっ

僕は一瞬、顔を少し引いた。
あの人の綺麗な顔が、凛々しく、僕に向けられた。
今まで遠めでしか見たことの無いような、真剣な眼差し。
僕はどちらかというと、魅入っていた。

「桜が綺麗なのは、嘘だよ。」


唐突に投げかけられたその言葉は、一旦僕の中には入らなかった。
いったい何を言っているんだろう。
僕の素直な感想は、言葉には出なくとも、顔に出ていたらしく、あの人はまた桜を見やった。
僕は、いまいち意味の掴めないこの言葉より、あの人の顔が気になって仕方なかった。
言葉を紡いだ瞬間、あの人はこれ以上ないほど切なそうな、泣き出しそうな目で、力強く僕を見た。

嗚呼、コレはきっと叫びなんだ。

そう思った。
他には何も、なかった。
今まで見たこともない、辛そうな瞳。
それは、今まで感じたことがないくらい、僕の胸をきつく締め上げた。
僕はぎゅっと拳を握った。

僕はこの人のために、何ができる?

結局何もできないなら、最初からかかわってはならないのだ。
無駄に入り込んで、弱いとこだけ見て、それだけなんて。
決していけない。
それくらいなら、どうせ何もできはしないのなら、僕は何にも関わってはならない。

「桜が綺麗だって・・・人が感じるのはね・・・」

あの人は話を続けた。
さっきの言葉の代わりを。
今度は僕を見ず、けれども桜も見ず、どこか遠くを見据えている。
ずっとずっと先

ずっと先の誰かを―――・・・

「桜が、散るからなんだよ。」

あの人は、どこか涙を・・・泣くのを堪えているようだった。

「桜が散る、その瞬間が何より、命の輝く瞬間だから。命の証だから。人間にとって、とっても綺麗に感じるの。すっごく、綺麗だと思うの。それはー」

命が散る、たった最後の瞬間。
その瞬間だけみえる、感じるそれは、人の心に突き刺さる。
あの人は、ぐっと下唇をかみ締めた。
ぐっと拳を握って、ぐっとこうべを垂れた。
桜の話をしたのは、いけなかったのだろうか?
もし、そうだとしたら・・・・・・・僕はどうしたものだろう?
あの人は、ぎゅっと目を閉じて、またばっと・・・桜を見た。
その瞳は、今まで以上に強かった。

風が、強い風が吹いて、桜の花びらが舞った。
その様子は今まで見た中で、とても綺麗で・・・・・・遠くからみたその景色は、とてつもなく滑稽に思えた。

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テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

【2007/03/21 23:02】 | おはなし | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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